エンビィ 【完】





伊織と瓜二つの黒真珠の瞳で、

そう言ったユキノに。


あたしは、あたしを見透かされたようで、唇を噛みしめた。


伊織の黒真珠は、あたしを見透かしていた。


あたしの黒く、

ドロドロと煮えたぎる汚い塊を――。




「なんで他人のは分かって、自分のは分からないのよ?普通逆でしょ」



喉を潤すように、コーヒーを一口飲む。



今までで一番ユキノに近づける気がした。

これまでの会話だって、どれもユキノにとっては真実だろうけど、今日はユキノという人物に深く踏み込んでいる気がした。




「玲奈さん。貴女と百瀬さんの関係って、何かしら?」


「……なに、って……主従関係…?」



百瀬はあたしがあの家に入った時から、あたしの執事だった。

それ以下でもそれ以上でもないけど……それだけじゃない。


なんて……言い表せばいいの?

的確な表現が見つからず困る。