エンビィ 【完】





ユキノがどこの高校に通っているのか、あたしは知らない。



この見た目……どうなのかしら?


ひとえに、あたしの周りにいたお嬢様連中がユキノに懐いたように、ユキノの周りにいる連中がユキノに懐くと考えるのは、些か浅はかだわ。



ハブられてんの?


一瞬そうは懸念したものの、無いとあたしは首をふる。負けん気の強いこの女が、大人しく下僕に成り下がる姿なんて、まあ僅かながら見てみたいとは悪戯心で思ったものの、まずない。

第一、想像できない。




……なに、言い淀んでいるわけ?



次第に待てなくなるあたしに、ユキノがやっとスプーンを回すのを止めたのは、あたしのコーヒーが半分になって冷めたころ。




「まあ、それなりに楽しんでますわ」


「……なにそれ」



普通すぎる答えで、つまらない。