エンビィ 【完】





「普通は普通。それなりに友達がいて、それなりにクラスメイトと話すわ。ああでも何でも打ち明けられる親友はいないけど。まあ必要でもないし」


「へえ」



聞いといて、気のない返事…。

少し頭にきて、雑に「そっちは?」と聞き返す。



ユキノは、蝶のようにフサフサのまつ毛を羽ばたかせながら、思い返すような瞳の色をしていた。



葡萄のシャーベットを、スプーンで掬う。

口の中で、緩やかに溶けるシャーベット。



ユキノは、コーヒーにクリームを入れたものをスプーンでかき回しながら、まだ考え事をしている。




―――――ふと、思った。


あたしはユキノに執着していたわりには、ユキノのことを知り尽くしていたわけではなく、寧ろほぼ知らないに近い。