ShortStory

時刻はpm9時。
いつも暗くて寂しい裏道も、その日は妙に人が多くて明るかった。

『ねぇねぇ! リョウのバンドまたライブやるんだって!!』

『マジで? 超楽しみなんだけど!』

少し派手めな女の子達が、一枚のポスターの前で騒いでいる。

『ねぇ…… ライブっていつあるのか、教えてくれる?』

私は精一杯の笑顔で女の子達に声をかけた。



『亮介! あんた隠してることあるでしょ!?』

家に戻ると早速、居候の亮介に掴みかかる。

『何で久美がライブのこと知ってんの!?』

『馬鹿! あんなでっかいポスター貼ってあれば気づくっての!』

突然の修羅場で皆さんには何が何だかわからないでしょう。

この亮介こそが地元の人気バンドでボーカルを務めるリョウ。

『だってさぁ…… 先輩に最後の一回って言われちゃって』

はいはい。
最後って何回も聞きましたから!!

最初は高校一年生。

高校の先輩から文化祭だけと誘われたバンドで人気が出てしまった亮介は、それからズルズルと呼ばれ続け……

ついに19歳になってしまった。


『本当に最後にする! 終わったら就職するから!』

いつも亮介のこの言葉に騙されてしまう。

【二十歳になったら結婚しようね】

高校の卒業式に亮介が言った台詞。
あの時は本当に嬉しくて、亮介と結婚する日が待ち遠しかとった。

でも……

『久しぶりのライブ! 俺、ちゃんと歌えるかなぁ〜!』

今の亮介じゃ絶対に無理!!