小さく口角を上げたあたしは、フェンスを飛び越えて二人の間へ入っていく。


そして、怪訝な顔をする能力者に向かって一言。


「ねえ、助けてあげよっか?」


微笑んで言ったその言葉は、相手に上手く伝わったのか分からない。

でも、相手の返事を聞かずに関口くんの方へ振り向く。


生暖かい風が妙に落ち着く。


「この人さ、あたしの知り合いなの。良かったら言うこと聞いてやってくんない?」

「水野...?なんでここに...、じゃなくて、そうなの、か?」


動揺を隠しきれていない関口くんに、追い討ちをかけるように笑いかける。


「ちょっと、この人に用事あってさ。丁度関口くんともめてるとこ見つけたから」

「...水野の知り合いなら、「うん!じゃあ、行こう?」


関口くんが開いた口に無理矢理被せ、強制的に能力者の元へ連れていく。

能力者は、若干どころじゃなく戸惑っていたが、こっそり耳打ちすると渋々あたしも一緒に案内してくれた。


そして、行き着いた先は────、