「悪ぃ、ちょっと頭触るぜ」
そう言った彼は、ナルの頭に手を伸ばし、瞳を灰色に変えた。
すぐにナルは危険を察知したようだが、あくまでも敵地の中心。
行動に移すことはできなかったらしい。
と、彼の瞳が元の色に変わった時、辺りを囲う人々はざわつきを見せた。
そしてそれを、椿さんが「静かに」一言で制す。
「久しぶりだねぇ、ハル」
「......おう、随分と老けたんじゃねえの?椿」
...バレた、のか。
急に周囲からの視線の色が変わった。
あたしたち全員の顔を見た後、椿さんはハルに気さくに話しかけた。
え、何。呼び捨てで呼び合う程親しいわけ?
ハルは皮肉を言ってみせたが、それを笑顔で打ち消す寛大さは流石のリーダーというところだろうか。
...それよりも、懐かしさと憂いを帯びた表情にも見えるが。
隣ではナルが、目の前に立つ男を無言で睨みつけている。
「...何、自分の能力が打ち消されて気分悪いの?」
「......」
その視線を感じ取ったのか、挑発するようにして疑問をぶつける。
ナルはナルでその挑発を華麗に受け流すもんだから、相手もナルを精一杯睨みつける。
...横にいるあたしの気持ち考えてよ。
ハルは椿さんと何か話してる様子だし。
気まずいっての。

