正直、ここで挙手したのは2人の雰囲気があたしの力試しのために来ている風に感じるからだ。
今回の任務はあたしのために受理した、自意識過剰かもしれないが、そう考えて間違いではないと思う。
「じゃあ、頼むわ」
ハルに合図され、あたしは緩く拳を作る。
伏せ目がちになりながら能力を開放し、力の出口を全て五感と第六感へ運ぶ。
瞬発力や跳躍力、単純な力には何の力も込めず、五感と第六感だけを研ぎ澄ます。
「...しっかりと見たのはこれで初めてだ。やっぱりキレイだな、色」
目が合っている訳ではないが、全ての感覚を研いでいるおかげで空間の全てが分かる気がする。
ハルが、ナルが。
春野さんが、あたしを見ている。
注目されることに慣れていないあたしには、なんだか変な気分だ。
そして、聴力を建物中の音が聞こえるまで研ぎ澄ます。
「...二階、右側10人左側3人。一番多く人が集まっている場所は、二階右側奥」
全身の神経を使い、能力を制御し、一度にたくさんの情報を頭に入れた今、気疲れが激しい。

