ビリ、という音が聞こえたかと思うと、気が付けば目の前は全く知らない景色に変わっていた。
なんだか空気も少し違う気がする。
「ありがとう」
「じゃあ帰るから」と言い、消えるシズにお礼を言う。
ほんと、ただ見てたら瞬間移動みたいだ。
「んーじゃ、行きますか!」
「...初めて入るくせになんなんですかその自信は」
一人で盛り上がっているハルに、ナルが冷たくツッコミをいれる。
今更だけど、ナルって結構毒舌だよね。
ハルを先頭に、ナル、春野さん、あたしの順番で歩く。
ノリノリのハルの後ろからはなんだかもう温度差がすごい。
「君は、何を考えてるんです?」
と、突然春野さんがあたしに声をかけた。
気遣いなのか、興味なのか。
どちらかと言えば後者の目だろうか。
「どういう意味ですか?」
「いや、そのまんまだよ。僕には君だけ、一線を引いた世界にいるように見える」
「.......そう、ですかね。...あたし、まだ新入りなんでその線がなくなるように頑張ります」
なんで、そんなところに目が行くというんだ。
あたしでも意識していなかったというのに。
この人は案外、鋭い人なのかもしれない。
ヘラりと笑って返すと、春野さんも小さな笑みを返してくれた。

