その後は、飲み物を飲みながら他愛ない話をし、盛り上がった。

イチさんの学校の話や、ハルさんの仕事の話。

全員の年齢を確認してみて、ハルさんがずば抜けて年上だったから落ち込んでいたり。

僕もからかわれたりしたが、なんだかんだ楽しかった。


外も暗くなってきた頃、イチさんとシズさんが門限だから、という理由で先に帰った。

学生寮というのは門限が厳しいらしい。

理由を言えば外泊もできるらしいのだが、まあ、守るに越したことはないだろう。


「じゃ、また明日!」


二人を見送った後、ハルさんと二人でソファで話す。


先ほどよりも随分と真面目な顔をするハルさんは、ちゃんと仕事のできる人なんだと感じさせられる。


「...アイツ、どう思う?」

「どう思うも何も、分からないことが多すぎますね」

「だよなぁ...。シズが嬉しそうに話してたから悪い奴じゃねえとは思うけど」

「全てを信じるには情報が少なすぎる、ですか」


真っ直ぐなハルさんの意見に、正直驚いた。

もっと変な言い回しをしてくるかと思っていたけれど。


イチさんがこの会話だけを聞くと決して良い気分にはならないと思う。

だけど、能力者にとって信頼は命に関わるものだ。

疑うことは悪いことではない。

それはイチさんも分かっている筈だ。


「ま、俺は裏切りとかが大ッ嫌いなんでね。そういうのに敏感になりすぎるだけで信じてもいいんだろうけどよ」

「明日、ですね。黒か白か───」

「はたまた灰色かもな」


ヘラりと笑い、立ち上がるハルさん。

そろそろ駄菓子屋の方を閉めるそうだ。


...能力者組織なのに何で僕たちは駄菓子屋を経営しているのか。

元リーダーの趣味だったらしいが、よく分からない。