シズさんとイチさんの一通りの話が終わった頃、ハルさんが口を開いた。
「シズ、アイツの紹介は?」
「ああ、」
シズさんは忘れていたかのように一瞬目を開いて話し出す。
...酷いですね、忘れていたとは。
イチさんはきょとんとしてシズさんを見ている。
「もう一人、仲間がいるんだ。キノって奴。お前と同じ女だよ」
「能力は怪力。今は依頼で遠くに行ってていないけどな」
ふうん、と小さく言ってからイチさんは自分の手のひらを見る。
何かを考えているのか、はたまた興味がないのか。
心が読めないことがこんなにも怖いとは思いもしなかった。
今までは、読めてしまうことが怖かったというのに。
それから少し沈黙があり、扇風機の回る音だけが部屋に響いている。
と、ハルさんが沈黙をやぶった。
「なあ、お前戦闘慣れしてるか?」
「...まあ、それなりに。それじゃないとこんな戦闘フラグの宝庫に飛び込んでこないよ」
イチさんはまたヘラりと笑い、返す。
...何でこの人はこんなにも笑っているのだろうか。
こんなに渇いた笑みを浮かべて意味があるというのだろうか。
能力者の過去を詮索するのは人外な行為だと分かっているからしようとは思わないが。

