「能力、者...」
聞いたことがある。
この街には能力者たちの集まりがあり、その者らは街に被害を与えない、街を守る代わりに存在を認められている、と。
初めは警戒されていたらしいが、人助けを重ねる度に認められていったらしい。
政府にはその報告をせずに、街は能力者を受け入れている、と。
あたしが桜を選んだのもその理由だ。
この街で許容されているのは惜しくも桜だけだから...。
それでも、個人の特定は出来ないようにフードを被ったり、顔を隠すことは必須だという。
それが能力者であることの証になっていたりもするのだが。
「...何してるんです、早く逃げてください」
その場から動かずにいたあたしたちに向けて、少年は吐き捨てるように言葉を紡いだ。
隣を見れば、未羽は膝を抱えて踞っていた。
「未羽?どうしたの?!」
「だめ...な、の......」
何度問うても同じことを繰り返し、首を横に振りながらただただ震えているだけだった。

