「キャアアアアアアアアア!!!!!!」
音と衝撃に反応した客たちが、咄嗟に悲鳴を上げる。
ガラスの破片は周囲に飛び散る。
未羽の目は見開かれ、身体が小刻みに震えている。
唇は青くなり、小さくも強い拳を握り締めていた。
......なんだろう、さっきまで楽しそうに笑っていたからだろうか。
突然、変な事件が起こってしまったからだろうか。
こんな未羽は初めて見た気がする。
車から降りてきたのは、Tシャツを着た二人の男。
そして持っているのは──────ナイフ?!
客と店員、その場に居た人たちは随分と騒ぎ立てており、何が起こっているのか状況が掴めない。
とりあえず、あの男たちは悪い人である、ということくらいか。
と。
軽自動車の後ろからもう一人、男が現れた。
...身なりと軽やかな動きからして少年、だろうか。
その少年は、手ぶらで、パーカーのポケットに手を突っ込んで立ち尽くしていた。
表情は良く見えない。
だけど、なんとなく分かる。
無表情なんだ。
「皆さんは、すぐに逃げてください」
無機質な声で少年がそう言った途端、その場に居た人たちは静まり、落ち着いて足を進めた。
...一体、何だっていうんだ。
突然現れた少年が言ったことをこの場にいたほぼ全員が聞いてしまうなど。
時々、安心するように笑う人まで見かけられる。
────もしかして。

