澄んだ声が聞こえ、振り返ると、未羽が不安そうな顔をして立っていた。
「と、...し、清水先輩?!へ、え、あっ、」
未羽から見て、あたしの後ろにいたシズを見つけて未羽は完全に焦っていた。
...聞かれてた?
いや、この反応は今出くわしたばかりなのだろう。
それより、今はこの状況の打開策...むしろ利用できることを話すべきだ。
顔の広い未羽に話を通し、噂の弁解をするべきだ。
「ああ、未羽ごめん。ここで先輩と出くわしてさ、喋ってたんだ」
「へっ?!千衣、先輩と...、」
「いやあ、あたしたち同じ孤児院出身でさ。昨日街で出会ったから昔話しながら一緒に帰ったんだよね」
ヘラヘラ笑いながら話すあたしの後ろで、シズはにこにこしている。
こっちは必死だってのに呑気なもんだ。
...いや、逆に変なこと吹き込まれたら嫌だけど。
未羽は、あたしの一言一句聞き入って、全てに大きく頷いている。
「じ、じゃあ噂の女の人って、千衣のことなの?!」
「う、うん...」
苦笑しながらも肯定したあたしを、目を丸くして見つめる未羽。
やっぱり、これは、その。
あんまりよろしくないことだっただろうか。
と。
キーンコーンカーンコーン、あまりにも古典的な音色を放つチャイムが鳴った。
予鈴を知らせるベルだ。
「あ。んじゃあ俺、そろそろ帰るわ」
シズはその音を聞いた途端、ニッコニコで手を振りながら走り去っていった。
......元凶のくせに。

