「おい。桜の焼き印、どこにおしたい?」
と、ハルさんが会話に入ってきた。
...あれ、元々あたしとハルさんの会話だったんだっけ。
「二人はどこに?」
「俺、横腹らへん」
「俺は腕だ」
シズが腹を見せてきて、ハルさんは袖を捲くった。
...なんか、自分で聞いたわけだけど、小恥ずかしいなこれ。
学校で着替えたりもするから、絶対に目立たない場所の方がいいよね...。
「じ、じゃあ脚で!」
「おっし、じゃあ脚出「ッざけんな!」
と、笑顔でハルさんが言ったところをシズが今度は足で蹴り飛ばした。
はぁはぁ息を荒らげて怒っているシズ。
...ご愁傷さま。シズ、ありがとう。
「自分でやる、から...」
「お、おう。それが一番だ」
机の上に置いてあった判印を取り、二人に見えないようにしてスカートを捲る。
場所を考えて印を押付ければ、ジュッと音がして、痛みとともに桜の花びらの印が浮かび上がってきた。
それを見ていると自然と口元の筋肉が解けていくのが分かった。
これで、あたしも桜の仲間───。
振り返ると、まだ二人は喧嘩していた。
「大体お前なんなんだよどスケベ」
「ああ?年上にそんな口きいていいと思ってんのかクソチビ」
「じゃあ年上が年下の女にあんなこと言っていいのかよシスコン」
「誰がシスコンだクソガキさっきデレデレしてたじゃねえかああいうが好きなのかあんなデカ女」
「はあ?!誰があんなカッコつけ好きになるかよふざけんな」
.......あれ?
なんかどんどん趣旨変わっていってない?
...ていうか。
「誰がデカ女だ誰がカッコつけだ!!人のこと散々貶しやがって!!」
「な、あ、ちょ、聞いてたの?!」
「聞こえるでしょ当たり前だ!!」
有り得ない。
しかも聞こえてないと思ってただなんて。
二人して焦り出した。

