「あー...、テレビでもつけるか」
空気が少しずつ重くなってきたところで、清水先輩が流れを変えようと立ち上がった。
机の上のリモコンのボタンを押しても反応せず、テレビのところまで歩いていく。
主電源ボタンを押しても「あれ、...あれっ?」何をしてもつかない。
苦笑いでこちらを見てくる清水先輩を見ていて、決心したあたしは立ち上がった。
テレビの元まで早足で行き、バンバン側面を叩く。
「え、ちょ、壊れ......ああっ!」
すると、少しずつノイズが入り、完全に電源がついた。
清水先輩は「そんな古いやり方で...」とかぶつぶつ言っているが、気が付かなかったとは言わせない。
「それが“ちーちゃん”の能力?」
名前の部分を強調し、笑いかける男に、あたしも笑って頷く。
「微少な電気を流して電源を操作したの」
「....で?何の用だよ。能力までお披露目してくれて」
あたしが能力者である事実を未だ呑み込めていない清水先輩は、あたしの瞳をじっと見つめている。
...そんなに見たって何の変化もないよ。
今のだけで瞳の色が変わるくらいあたしの能力はしれたもんじゃないし。
ちょっと緊張するからやめてほしい。
ソファに座り直し、男と向かい合って真剣に話す。
「...頼みがあるの。...お願い、あたしを、あんたたちの仲間にして!!」
「お前が他の偵察ではないと言い切れる証拠は?」
「...ない」
「他の能力者との関わりは?」
「...ない、とは言えない」
「何故俺たち“桜”の存在を知っている?」
「...言えない」
「...他の能力者組織に入っていたことは?」
「.......ある」
「...ふざけんな!どこにも信用していい要素がねえじゃねえか!!」
男は机を叩いて立ち上がった。
その勢いで頭をガシガシと掻く。

