私がお嬢様をやめる時

それからはわざと無表情で
菜々穂をからかうようになった。

菜々穂はそんな俺に
だんだんと
感情をぶつけるようになった。

もちろん、その本性はワガママで
強気な女だったんだけど。

ただ、俺にからかわれるのが
どこか嬉しそうで…

この家で心を閉ざした菜々穂が
俺には感情をぶつけることが
内心うれしかった。


そんなある日
菜々穂から着信があった。

電話に出ると

「あ、水嶋さんですか?
私菜々穂の友達の
工藤玲奈って言います。

あの、今飲みに来てるんですけど
菜々穂が酔っ払っちゃって。
お迎えお願いしていいですか?」

…なにやってるんだか。
俺は菜々穂を迎えに行った。