恭平の眉がピクッとなる。


「私の…執事?
それ、女の執事に変えてもらえよ。」


低いドスの効いた声。


「なんで?」


私もだんだん腹が立って来た。


「なんで?
俺が嫌だからに決まってるだろ?」


声を荒げる恭平。
周りの学生もさすがに
チラチラとこちらを見ている。


「あのね。なんで執事まで
女にしなきゃいけないわけ!?」


私がそう言った瞬間だった。
ゴン!!

私の顔のすぐ後ろの壁を
恭平は殴った。


ヤジウマが集まってくる。
でも、恭平は
そんなの目に入っていない。
ただ、私の目だけを見ている。

いつもの笑顔からは
想像できないくらい冷ややかな目で。