それから私はなるべく男の人と
話さないようにしていた。
教授に話しかけられても
要件だけ話して
余計な無駄話はしなかった。


それがたとえおじいちゃんの教授でも。

恭平の事を
清美と玲奈に相談したら


「嫉妬なんて
相手に思われてる証拠よ。
ラブラブでいいわね。」

と、ノロケ話扱いされた。



私が火種を作らなければいい。
そう言われた。




私は講義を終え
ラウンジで水嶋に迎えの電話をかけた。
すると、背後に恭平がいた。

「誰に電話?」

私は一瞬肩をビクッとさせた。

「迎えの車を呼んだんだけど。」


「ねぇ…
菜々穂の事
いつも迎えに来るアイツは何?」



「私の執事だけど。」



そう。火種は私の一番身近にあった。