水嶋を外で待たせてワンピースを着る。
さすが水嶋。
シルエットもサイズも完璧。
このワンピース
あの無表情で選んだのかな?

「いいわよ。」

今日はちゃんと
ファスナーのフックを確認した。
また近づかれたらたまらない。

私が椅子に座って待っていると
フワッと水嶋の両手が肩に置かれた。

「!?」

一瞬ドキッっとする。
鏡に映る自分を見ると
水嶋がカーディガンを私の肩に
かけていた。


「夜は冷えますのでお持ちください。」


いちいち触れなくたって
いいじゃない。


メイク道具を用意し、手慣れた手つきで
手早くメイクを始める。
アイシャドウを塗るために
目を閉じると
普段
白い手袋をしている水嶋の指が触れる。

いつもよりも近いお互いの顔。
この瞬間はいつも緊張する。

ふと、水嶋の手が止まる。
な…なに!?

私は恐る恐る目を開ける。
やはり目の前には水嶋の綺麗な顔。


「水嶋?」


眉をひそめる私。


「いえ、失礼しました。」


そう言ってまた手を動かす。


いえ、って何よ!?
今何か言いたそうだったじゃない。