私がお嬢様をやめる時

そんな話をしていたら
突然清美の携帯が鳴る。


「あ、パパからメールだ。
…………
そろそろ帰ってきなさいだって…」


時計を見ると
清美の門限が近づいていた。
20歳越えても門限9時。ありえない。


「ごめん、迎えが来るから先に帰る。」


清美はそう言って
私に手を振って会場を出て行った。


清美はたとえ門限が9時だろうと
父親に反発せず必ず守っている。
清美が何かを言い争う姿とか
見たことがない。
反抗期って
清美にはなかったんだろうか。


私は…どうしよう。
玲子も見当たらないし
清美は帰ってしまったし
水嶋呼ぼうかな…


携帯を取り出し、水嶋に発信した
その瞬間


「あの…」


突然背後から男の人に声をかけられた。
私は慌てて発信をキャンセルした。