私がお嬢様をやめる時

兄が結婚して
この家を出て行くと聞いた時
私はものすごくショックだった。

でも、兄には幸せになって欲しくて
私は笑顔で兄を送り出した。




「どうしたの?こんな夜遅く…」

水嶋もリビングへやって来た。

「やぁ、水嶋くん。
菜々穂がいつもお世話になってるよ。
君のおかげで僕も父も安心してる。」

「いえ。」

水嶋はそれだけ言って
深々とお辞儀をした。




「実はね、菜々穂に
いい話を持って来たよ。」

「いい話…?」

兄は大きな封筒を取り出した。


「これを見てくれるか?」

私は封筒を開ける。