「水嶋…笑えるんじゃない。」


「今は執事じゃないから。」


「なにそれ。」


そんなやりとりをして笑い合う。
嬉しかった。
やっと水嶋が私に笑ってくれた。
カップルのフリという演技だとしても
私はそれでよかった。


トンネルを抜けると
小高い丘の先に
大きなモミの木が生えていた。

日本一大きなモミの木って
雑誌に書いてあった。


その木は
日本一大きなクリスマスツリーになって
輝いていた。