ライブも中盤に差し掛かった頃。
達央がメンバーに向って
「じゃ・・・行きますか」と声をかけた。
するとメンバーはステージから客席まで降りて、真ん中の通路を歩きだした。
客席からは
メンバーの名を呼ぶ声が飛び交う。それに手を振ってこたえる。
そして彼らは優花の真横に用意された小さなステージに上がった。
しかも達央の立っている場所の真下が優花のいる場所。
上を見上げると思いっきり目があった。
しかも他のメンバーも優花の事を知っていたようで
楽器を準備しながらもニヤニヤした顔で達央を見ているのが
わかった。
ステージには3つのイスとドラムセットが用意されていた。
アコースティックギターを持った、達央はイスに座ると
マイクスタンドの位置を調整した。
「えー。2階席見えますか?」達央が話し始めた。
2階席から歓声が聞こえた。
「メンバーが言うには、俺ってライブの時も眠そうな顔してるんだって」
客席から笑いがおこる。
「・・まー確かにいつもはそうなんだよね。だけど昨日は珍しく
ぐっすり眠れたんだよね・・・・なのでまだまだいけます。」
「なんだよ。そのトークは」
尚也からの鋭いつっこみが飛ぶ。
「いや・・お前たちわかってないかも知んないけど・・今日の俺はめちゃめちゃ元気だよ」
達央の言葉に客席からは黄色い声が飛ぶ
「はいはい・・それで?」
「一応それには理由があるんだよね。」