「あーー!どうしよう。勢いでいいって言っちゃったけど・・」
優花はソファーから立ちあがると気になるものは全てクローゼットにしまい
自分の身なりをチェックした。
「あーー!ちょっとこんな服じゃだめじゃん。」
再びクローゼットを開けると、今度は普段着に着替えた。
それを再び鏡の前でチェック、そして一旦動きを止めた。
「・・・何か食べるものとかいるのかな・・・」
今度はキッチンに向かい冷蔵庫を勢いよく開ける。
「ビールはよし!・・ってビール飲むの?でもきっと車だよね・・・」
とにかく彼氏が家に来るなんて初めてで、焦りばかりが空回りして
一番しなくちゃいけない事がわからなくなってきた。
「・・・こんなことならご飯食べたかどうか聞けばよかった・・」
そんな余裕などないとわかっていても言いたくもなる。
皮肉なもので、そのおかげで?桜沢の事などすっかり忘れてしまっていた。
そうこうしているうちにピンポーンとチャイムが鳴った。
優花は大きく深呼吸をして再度鏡の前で身なりをチェックし、
急いで玄関のドアを開けた。