「お願い?」
「ライブの後の時間を俺に全部頂戴」
「え?」
優花は何の事かわからなかった。
「今度のライブは俺たちの結成10周年記念のライブなんだ。
これからリハも入って優花と会える時間もあまりないと思う。
本当はこのまま俺の物になって・・って思ったけど・・・・
それは今度のライブが終わるまで我慢する・・・・だから
ライブの後は俺に優花の時間を頂戴・・・・」

優花はその言葉に頷くだけでいっぱいだった。
それがどんな意味を表しているかわかったうえでだ・・・
「・・・よかった・・・」
達央は微笑むと再び優花を力いっぱい抱きしめた。
「あ・・あの・・達央さん・・・痛い」
「少しぐらい我慢して、昨日はあの医者の事ですっげームカついたし
これからライブまで会えないんだから」
そう言って達央は優花を抱きしめた。
「・・・優花」
どのくらいこうしていたのだろう達央が囁くような声で呼んだ。
「何?」
「さっきも言ったけど、これからライブまでは忙しくて
なかなか会えなくなる。
もしかすると前みたいに短いメールでのやり取りしかできないかもしれない。・・・ごめんな・・」
優花は黙って頷いた。