本当はお手洗いなんか行く用事もないのだがあの場所にいるのが苦痛で
逃げたかっただけだった。
どうせ、今回の合コンも会費を払わなくてもいいのだから
このまま帰ったっていいのだが・・・・
優花はお手洗いの入り口の横でしゃがむと大きなため息をついた。

「あーほんと反吐がでそう・・・・」
自分が気付かないうちに本音がポロっと出てしまっていた。
「ありゃ~反吐もでそうになるよな」
優花の頭上で男の人の声がした。
しかも優花のポロっとでた一言に相槌を打つように。
優花はしゃがんだまま恐る恐る上を見上げる。
するとそこには見知らぬ男が壁にもたれながら立っていた。
男はひょろとした細身で身長は・・・高そうに見えた。
髪の毛は肩にかかるくらいで前髪が長く目が隠れそうで表情がみえない。
Tシャツにジーンズといったシンプルな格好だが細身の体が際立っていた。
「あの・・・・もしかして今私に話しかけました?」
優花は恐る恐るその男に声をかけた。
すると、男は壁にもたれたままの状態でずずーっと腰をおろし
優花と同じ様にしゃがんだ。
「話しかけたよ。あんたの席、通路を挟んだ俺らの斜め前の席でさ~。
ちょうど俺の位置から見えてたんだよ。
俺も飲みたくない奴と飲んでたからつまんなくてさ~~
そしたら、あんたが見えて・・・楽しませてもらった」
そう言ってクスッと笑った。
「え?!」