優花はもたれてた身体を壁から離すと
「そろそろ戻ります。達央さんもこんなとこにいて私と話しているのを
誰かに見られたらまずいんじゃないですか?」
そう言って席に戻ろうとした。
すると達央に腕を掴まれた。
びっくりして掴まれた腕と達央の顔を交互に見た。
「な・・なに?」
達央はまだ少し不機嫌な顔を残しながら優花に一緒に帰るよと告げた。
さすがに前回の様にいきなり帰るのはよくない。優花は
掴まれた腕を振りほど腕を振るが達央はそれを拒んだ。
達央は優花の腕を掴んだまま優花たちのテーブルへと
歩き出した。
そして達央は優花に声をかけてきた桜沢の座っている席の後ろ立つと
名刺をテーブルの上に置いた。
「こいつ俺の彼女なんで連れて帰ります」
一礼すると再び回れ右をして店を出ようとした。
もちろん合コンに参加してる人たちは会話も途中で唖然とした様子で
2人を見ていた。
美由紀も例外ではなかった。今回の合コンに誘った時
彼氏がいると断られたが、それは合コンに出たくないからの嘘だと
思っていたのだろう。
美由紀は目の前で達央と一緒にいる優花をただただ驚いた様子で見ていた。
すると
「あの!」桜沢が呼びとめた。
2人は動きを止め振りかえると桜沢を見た。
「俺・・・諦めないから」
優花に真剣な眼差しを送る。
優花は下を向いたまま、失礼しますというと達央と店を出た。