「いい?俺先に行くけど後でよこっちが迎えにくるからそれまでにちゃんと
支度しておくんだよ」
「わかってる。でも本当にいいの?私なんかが行っても・・・」
達央はケースに入ったギターを肩にかけると眉を下げ、私の頭に手を置く。

「もうすぐ俺の奥さんになるんだからもっと堂々としれてばいいって。
 それに万が一って事もあるからさ」
「万が一?」
「後ろ姿だけで今ばれるのいやでしょ?」
鼻の頭をこつかれてハッとした。

動画サイトに「color」がUPされると、再生回数は1週間で
既に500000回を軽く超えていた。
それだけ今回のアルバムは注目を集めている。
もちろん曲だけではない。
このPVの中身にも注目が集まっていた。
ネットできっといろいろと騒がれているのだろうが
正直一喜一憂している暇は達央にはなかった。
今日はアルバム「color」の発売日でもあり

今夜行われるライブはファン限定だが、3ヶ月後からは始まる
ツアーの構成を考える上で重要なライブだ。

それにアルバムリリースに向けて書く音楽雑誌でflybyが取り上げられ
たくさんのインタビューを達央は受けていた。
その中のある雑誌にだけ達央はこのアルバムを作る経緯を
プライベートな部分も含めたインタビューに答えていた。

心配ないなんて保証はないから今日はバックステージで見てもらう事に
していた。
その事は優花本人もわかっていたから今回は素直に従った。