約束の水曜日
仕事が終わるとそわそわする気持ちを何とか落ち着かせ会社を出た。
既に横田は車にもたれるように立って優花を待っていたが
どこで美由紀に見られているかわからないと思い
優花は、周りに美由紀がいない事を確認したうえで
駆け足で横田の所へ行く。

「お待たせしました」
深々と頭を下げると、乗ってくださいと笑顔で後部座席のドアを開けてくれた。
優花は、すみませんと言いながら急いで車に乗った。
横田は優花が乗った事を確認するとドアを閉め
運転席に素早く乗り込みシートベルトをすると、動きますよと
声をかけ車は動き出した。

「そう言えば凄く急いで車に乗ったけど・・・やっぱり達に会いたいよね」
横田はバックミラーで優花をちらっと見るとフッと笑ったが

「いえ…違うんです。横田さん狙いの同僚がいて・・・」
「え?!」
「先日店に来てくれた時、私と横田さんが喋ってるのを同僚がみて
横田さんの事をしつこく聞いてきたんです。
あの人は誰なのか、とか・・・私とどんな話してたのかって・・・
 もちろん話しませんでしたよ。だけど、彼女しつこいから・・・」
思いだしただけ疲れた
「・・・だからその彼女に見つからないように急いで乗ったって・・・訳だ」
「はい」
信号が赤になり車が止まると横田が振り向いた。
「じゃあ・・・その子にもし聞かれたら僕は既婚者だって言っておいてよ」
ん?既婚者・…って事は・・
「ええ?!横田さんて結婚してたんですか?」
優花には意外すぎて驚くと
「え?そんなに驚く事?っていうか優花ちゃん、僕の奥さんに会ってるよ」
益々クエスチョンだ。