優花はスマホを置くとご飯とみそ汁の用意をするためキッチンに入る。
だが、優花はスマホの画面を消していなかった。
表向きに置いたスマホの画面が達央の視線に入る。

特別酷い書きこみはないものの芸能人と付き合わなければ
誰かと恋をしようがこんな書き込みをされる事はほとんどない。

元気なふりをしている優花の姿が痛々しく感じた。

「お待たせ~~」
湯気を立たせたご飯とお味噌汁を運んできた優花に
達央は笑顔で受け取る。
達央と向かい合わせに座ると自然と同時に手を合わせ
いただきますの声が重なる。

「ねぇ・・・これからどこかに出かけない?」
思わぬ提案に優花の箸が止まる。
横田にはしばらくひきこもると言っていたのに
週刊誌の発売日にいきなり外出するという達央の考えが
理解できなかった。
だが、達央の顔はふざけている様子はなく、いつになく真剣だった。
味噌汁を飲む達央に向って、どうしてと優花が尋ねると
「アイドルとかテレビによく出るわけじゃないから、誰かが張り込んで
るとはあまり思わないし・・・・ここでじっとしていると
余計な事まで考えてしまうんじゃない?」
達央は優花に視線を向けるとそのまま優花のスマホを指さした。