会場を出て最寄りの駅まで歩いていた。
だが、果絵はやっぱり納得できない様子だった。
「ねえ!本当にいいの?だってステージ上で優花に謝ったんだよ。
普通ならさ、ちゃんとそれに答えるべきじゃないの?」
果絵の言っている事はわかる。わかるけどどうしてもそれが出来なかった。
気不味いのか意地っ張りのせいか・・・・
「うん・・・それは後でメールするからいいよ。
 今日はきっとメンバーたちと一緒だろうし邪魔したくないんだ。」
「ふ~~ん。わかったよ」
それでも納得できない様子だった。
「ごめんね。私の事を思って言ってくれてるのはわかるんだけど、
 元々今日は、1ファンとしてライブを楽しみたかってのもあるし。
 よく言うじゃない。遠足は家に着くまでが遠足だって。
ライブも一緒で家に着くまでライブなんだよ・・・」
果絵からすれば優花がどんな言葉を繕ってもじれったくなる。
「ん~~!私は心配してんのよ。今日会ったスタッフの唯さん?
凄い美人だったじゃない。ただのツアースタッフとは思えないのよね。
優花がそんな呑気なこと言ってたらあの美人に達を持って行かれちゃうよ。
もっと恋愛に貪欲になりなさい。もう優花は誰かの引き立て役でも何でも
ないんだよ。」
果絵の気持ちは十分すぎるくらいわかる。
でもこれが自分の性格だし、いきなりなんて変われないのも事実。
「ありがとう。…唯さんか~~。美人だもんね。」
「優花!」
「あはは…冗談冗談!もうそんなに大きな声出さなくても」
「いや・・そうじゃなくて・・アレ」