イヤホンを耳に当てると川久保が再生を押した。
ドラムステックがカウントを取り
ギターとベースとドラムが一斉に音を奏でる。
初めて聞く曲だ。
歌詞も今の自分を変えるのは自分と言った歌詞で自分への応援歌だった。
軽快なビートと歌詞がうまくマッチしていて
優花はこの曲が凄く好きになった。
「すごい・・・これ誰の曲なの?」
川久保の顔を見ると顔を赤くしているのがわかった。
「川久保君?」
「それ・・俺らが作ったオリジナルの曲なんだ」
「うそ・・この曲作ったの?ねぇタイトルは?」
「stand up」
「凄くいい。これをこのままにしておくのはもったいない。
 川久保君なら絶対プロになれる。もしプロになったら私ファン第一号になる。」
自分でもびっくりするくらい大胆な事を言ったと思った。
川久保はさっき女の子たちが追いかけるほどの人気だ。
黙っていてもたくさんのファンがいると言うのに自分はなんてとんでもない事を
言ってしまったんだと後悔した。
だが
「絶対だな!桐谷は俺のファン1号だからな。忘れんなよ。」
そう言って川久保は優花に今聴かせた曲の入ったMDを渡した。
「こんな大事なものもらえないよ」
だが川久保は首を横に振った。
「だって桐谷はファン1号なんだから・・・これは持っててくれ。
俺がプロになったらすっげー価値になるからさ」