「誰に?」
感情のない声が聞こえた。
「・・・・・・桜沢・・・さん」
消え入るような声で言ったが達央は聞き逃さなかった。
「どうして・・・?」
達央がどんな顔をして話しているのか怖くて見れず優花は自分のつま先を見つめたまま
話し始めた。
「夕飯の買い物を近くのスーパーでして、帰ろうとしたら偶然会ったんです。
荷物が重いのを見て、送ってあげると言ってくれたんです。私は結構ですって
断ったけど買い物袋を奪われて・・・何もしないって言う桜沢さんの言葉を信じて
すぐそこの公園の前まで送ってもらったんですが・・・車から降りようとしたら
お礼が欲しいって言って・・・いきなり・・・・」
そしてまた会話が途切れた。

どうしようきっと怒ってるよ。
どうしようきっと嫌われた・・・だって私は・・・
思い切り顔を上げた。
「達央さん・・・」
「どこ?・・・」
「え?」
「だから・・どこにキスされたの?」
優花は人差し指を唇に当てようとした。
すると達央の顔が近付いてきて
優花の唇を塞いだ。
それはとても荒々しいもので
優花の気持ちなどお構いなしといった感じだった。
怒りや悔しさ・・・そして愛おしさ
優花の頬を両手で包みこみ角度を変えてキスされる。