「…え!今日トーヤ君休みなんですか?」


私は店先で大声でそう言った。


店の奥から店長が喋りながら
こっちへ来る。


「そうなんだよ、珍しく風邪ひいた
みたいで…。
どうしたものか…。」



トーヤ君が風邪だなんて!
大丈夫かな…
勉強のしすぎとか?
あ、働きすぎ…とか?


もやもや考えていると
店長が口を開いた。



「悪いんだけど、桃ちゃん。
今日はバイトいいから
あいつのご飯を作ってくれないか?

朝から何も食べてないんだ。

私は配達も、店番もあるから
あいつに付いててやれない。


ご飯作ったらそのまま帰ってくれて
いいからね。感染るといけないから
部屋に入ったらだめだよ。


じゃあ、よろしく頼むよ。」


そう言って店長は忙しそうに
伝票を持ちながらバタバタと
店の奥に戻っていった。