「お婆さん!」

お婆さんに追いつき、肩を掴む。

「…あら?あなた、さっきの…。」

「はぁ…は~ッ…お婆さん…
 ふぅ…何か、後悔してないか?
 今、するべきことがあるんだろ。」

お婆さんは驚いた表情を
見せたが、それは少しの間だけで
さっき見せた笑顔に戻った。

「いきなり、何を言い出すんだい?
 何も、後悔なんてしてないよ。
 …でも、あなたは 優しい子だねぇ。」

「…嘘、つくなよ。お婆さん
 今日が命日になるんだろ?
 俺は、ともかく…後で悔しむ
 ことになるのは 見過ごせない。」

「俺は…ってことは
 あなたもなのかい?」

「あぁ、そうだ。」

「…そうなのかい…。
 あなたは、本当優しい子だねぇ。
 こんな婆さんのことを
 心配してくれるなんて。」

「別に、そんなんじゃない。
 ほら 何かあるんだろ?
 俺に出来ることなら手伝ってやる。」


「もう良いんだよ。運命には
 逆らえないものさ。
 …本当は、最後に愛しい人に
 会いたかったんだけどねぇ…。」