翌日、また歩きスマホでその道を通る。
すると一輪車に乗ってスマホをいじくる女の子がいたのだった。
俺は怪しまれないように大体の距離で聞いてみることにした。
「ねぇ、君昨日も一輪車に乗ってスマホをいじくってたよね。」
我ながらキモイがニコニコしながら聞いてみた。
「え・・・その、うーん。うん・・・」
俺に急に話しかけられて女の子は戸惑っていた。
「なんで一輪車に乗ってスマホをいじってるの?」
「それは・・・お兄さんもそうじゃん。同じだよ」
お兄さんと呼ばれてなぜか嬉しい俺は’’同じ’’と言われた言葉に疑問を抱いた。
同じって・・・一輪車と歩きは違うだろ
「わざわざなんで一輪車に乗るの?」
「歩きスマホをする理由と同じだよ。」
歩きスマホの理由?
「あの、お兄さんいつも歩きスマホしてるよね。なんで歩きながらしてるの?って聞かれてるのと同じだよ。じゃあ、学校に行く準備するからまたね、お兄さん。」
そう言って少女は一輪車を漕ぎ始めた。
「あ、待って。君、一輪車上手だね。」
って何言ってんだ俺!
褒めてどうする!
「ありがとう。お兄さん歩きながらスマホ危ないから気をつけていってらっしゃい」
な、なんと・・・。
年下の子に注意されたことを俺は少し悔しかった。
それにしても女の子の言う通り、『 お兄さんいつも歩きスマホしてるよね。なんで歩きながらしてるの? 』って聞かれたらすぐには答えられないがスマホに気になることがあるからだと思う。
例として「LINE」なら返事が気になるし「Twitter」からみんなの出来事とか知りたくなる。
そういうのがあってだと思う。
でも確かに、一輪車でわざわざ乗ってスマホをいじるように歩きながらわざわざスマホをいじるのはおかしいのかもしれない。
危険性だって十分にある。
一輪車してた女の子も俺もおかしい行動をしていたのかと思うとはずかしくなってきた・・・。
俺は、スマホをしまって歩き出した。
すると世界が変わって見えたのだった。
スマホと道しか見えなかった視界だったのに、なんてひろい視野だろうか。
あれ、新しい店ができてる。
あんなに木、おおきかったっけ?
色々新しくなっていてワクワクした。
こんなに楽しかったんだ・・・。
普通に歩くのもいいかも、としみじみ思う俺。