「でもさ、大雅。
このままバレンタインとか嫌じゃね?」
“バレンタイン”
この前、さつきに
『バレンタイン、ね』
なんて言われたんだった。
思い出したら急に熱くなってきた。
「なんか照れてるんですがー…」
にやけながら、ワケアリと突っつく裕貴に対処できず熱くなった顔周辺を扇いだ。
「大雅、お前純粋だな。
ピュアだ、ピュア少年だ」
先生に言われ、首を捻った。
ピュア?
さっきの狼とは正反対じゃん。
「たぶんそういうところが、中村は好きなんじゃねーの?
急がずにゆっくりてきな?
ま、性急になるなよ少年」
「さすが、最近処女を抱いた人間は……」
裕貴は関心しながらふむふむと言っていた。
俺のいいところ……
さつきが好きになってくれたところ……

