ソファーの上 あたしは両手を組んで目を瞑る。 渉の足音が近付いてきたのが雰囲気でわかる。 ふわっと鼻を掠めるシャンプーの匂い。 「姫…」 顔が目の前にあるのだろう。 普段ならこんなことをされたら 飛び上がって起きちゃう。 でも今はダメ……。 だってあたしは……… 「どうかお目覚め下さい」 悩ましげな声と共に降りた唇。 それらを感じゆっくりと目を開ける。