「ほら、ジンベイザメ探すんだろ?」 手を差し出されて座りこんだあたしを引き上げる。 なんか…… 釣り竿で引かれた魚の気分。 「あっちにおっきー魚いたよ、パパ!」 「どれどれ~?」 あたしたちと同じく旅行に来ている家族が近くで話していた。 「だってよ、」 今はこんなぶっきらぼうに言っているけど、いつしか渉もああいうお父さんになるのかな? 『パパ~、ママ~』 可愛い声で呼ばれたら堪らないね。