「俺、席座ってるから先行きな?」
「いいの?
わーい!食べよう食べよう♡」
目キラキラしてる。
なんだろう、このモヤモヤ。
俺、食事に嫉妬してるかも。
気分を変えるために隣の席を見ると、
老夫婦がいた。
「じいさん、口の周りについてますよ」
「どれじゃ?」
「左側の口元です」
おじいさんは左側ではなく右側の口元を拭っていた。
それを見かねたおばあさんが手を伸ばして拭く。
愛ある光景だなぁ。
俺と舞も年をとってからも旅行に行きたいなぁ。
年てきに俺が早く死ぬから
舞には苦労かけるんだろう。
出来るだけ長く生きたい。
「渉!」
呼ばれて前を向けばお皿にいっぱいのご馳走を乗っけた舞がいた。
そんなに食うのか?
笑いながら席を立ち俺も皿に乗っけていった。

