正直、外に出ることも億劫だった。 「ほらあそこの家の息子さんよ」 「お兄さんは頭がいいのにねぇ」 「よく言うじゃない? 兄弟でどっちかが豊作でどっちかは不作だって」 近所の声 周りからの目 いつしか兄貴のことを避け始め、 親もどうでもいい存在になった。 俺がいない方がいいんだろ? いっそ消えてやろーかと思った時もある。 結局、俺は臆病者で実行には移せなかったけど。