本当に許嫁なんて、どうでもいい。
そう思った俺は、城を逃げ出した。

シュンッッ!

「った!」

ぼーとしていると、突然飛んできた何かが、顔をかすめた。血が垂れている感触がする。

「すみませんっっ!」

そう、必死で駆けてきた青年に俺は、心を奪われてしまった……