高2の夏休み。
早くに課題を終わらせた私は、地元から少し離れた海沿いの街に来ていた。
おばあちゃんが経営している海の家のお手伝いをするためだ。
「夏姫ちゃーん、これ三番テーブル持ってって!」
「はーい!」
おばあちゃんの家には夏休みになると毎年家族で来ていた。
だけど今年、おばあちゃんの家に来たのは私だけ。
二つ上のお姉ちゃんは大学が忙しくて、お母さんは仕事が忙しく、休暇が取れなかったらしい。
お父さんは、三年前に病気で他界した。
優しくて、時にはちゃんと叱ってくれたお父さんが私達は大好きだった。
すごく悲しかったけど、お父さんはきっと空から見てくれているから、寂しくない。
「なつー!」
「あ、愛華。」
ブンブンと手を振りながら走ってくる小柄な女の子。
愛華は、私がこの街に来る度遊んでいた友達。