「薫、帰ろう」
その日の放課後、私は薫に声をかけた。

「ごめん千夏。
私、先生に自由行動の報告してくるから、ちょっと待ってて」
薫はそう言って、急いで教室を出ていった。

私は言われた通りに、薫を待つことにした。

しかし…

「浅井さ～ん。
隣のクラスの人が呼んでるよ～」

呼び出しを受けてしまった。

私を呼んでくれたクラスメートに、
「薫が戻ってきたら待ってて」と伝言を頼み、隣のクラスの人に誘われるまま、空き教室まで着いて行った。

空き教室に入ると、彼は自己紹介をしてくれた。

「2年4組の高野悠斗（ﾀｶﾉ ﾕｳﾄ）と言います。
実は…、浅井さんのこと、いいなぁと思ってて。
良かったら俺と付き合ってください」