【繁幸Side】


真尋兄ちゃんと高野のフリースロー対決。
高野の先攻で始まる。

最初の5投は、お互いに外さなかった。
そして予想通り、サドンデスになる。

高野は外さない。
真尋兄ちゃんも、確実に決める。
勝負は時間がかかりそうだ。

少しのブレ、少しの気の緩みが勝負を左右する。
1投1投を真剣に、かつ丁寧に放っていく2人。
隣にいる浅井は真剣に勝負を見つめ、真尋兄ちゃんが決めるたび、ホッとしているのが分かった。
―本当に真尋兄ちゃんのことが好きなんだな―
そう感じた。

お互いに20球目を投げた。
最初は、シュートが決まるたびに拍手をしていたギャラリーも、今は拍手も忘れ、勝負の行方を見守っている。

次は21投目。
高野がボールを持ち、シュート体制に入った。