俺のことを『真尋兄ちゃん』と呼んだのは、シゲこと従兄弟の佐藤繁幸。
そういえば、シゲは千夏と同じ高校だった。

俺は千夏に近づき、その手を掴むと
「シゲ!
千夏と薫ちゃんは、これから休憩でいいんだよな?
久々の母校だから、案内役に借りて行くから」
そう言って教室を出て行こうとした。

「あっ、えぇっ!
真尋兄ちゃんと浅井って知り合い??」
シゲはビックリした声で聞いた。

「千夏は俺の妹!
で、俺と真尋は、高校からの親友。
だから、千夏と真尋は知り合いだけど」
シゲに説明してくれたのは春輝だ。
説明しながらも、しっかり薫ちゃんの手を引いていた。

「そういうことだから」
一言残して、4人で教室を出る。

「浅井、宮野。
余興の時間には遅れるなよ」
背中にシゲの声が響いた。