海人部長は、
ちょっと時計を見てから、
また、優しい笑顔でにっこりとほほ笑んだ。

「じゃぁ、高梨さん。
 食事にでも行こうか?」

「・・・・・

 えっ?!食事??」

聞き間違えかと思って、
思わず、聞き返した。


「え!?ダメですよ。海人部長!
 俺の綾菜さんーーー!!」

私より先に香川君が
誘いを断った。

だから、
香川君・・・私はあなたのモノじゃないってば。
もうっ。


「だから、香川君・・・。」

私が香川君に文句を言う前に、
すっと海人部長が私と香川君の間に立ちふさがった。

「香川。
 しつこくて、嫉妬深い男はダメだろ?

 大体、いつ高梨さんが香川のモノになったんだ?
 女性をモノ扱いするのもどうかと思う。」

海人部長が、
私の言いたいことをほとんど行ってしまった。


香川君は怒られた犬みたいにしゅんとなった。

海人部長に笑顔で諭されると、
そりゃ、
怒鳴られるより怖いわ。

本気のダメだしって感じで。


「嫌われる前に、さっさと残業を終わらせること。」

「・・・・・・はい。。。。」

しゅーんとなった香川君は
私に、ぺこりと頭を下げた。

あ。。
どうしよう。
すっごい海人部長との食事、
断りにくくなっちゃった。