柳田さんは
紅茶の缶をプシュッと開けて、
一口ごくりと飲んでから、
ゆっくり笑った。
「綾菜さんだったら、
海人様の情報を
教えてもいいだろうって思ったんですよ。
通常はもちろん極秘です。」
「・・・?どういう意味です?」
「そりゃ、もちろん。秘密ですよ。」
「・・・うーん。」
秘密にされてしまった。
「柳田さん。
そういう風に言われると、
私の都合のいいように解釈してしまうんですが・・・」
「さーーぁ、どうでしょう?」
「柳田さん。
意外と意地悪ですね。
娘さんに嫌われますよ。」
「うっ。
だ・・・大丈夫です。」
あ。ちょっと痛いところついたみたい。
「ところで、敬語やめてください。
私の方がずっと年下ですので。」
「そういうわけには、綾菜さん。」
「じゃぁ、私も柳田さんを、パパって呼びますよ?」
「・・・それは、若い愛人みたいで嫌ですね。」
あはははは。
とまた 柳田さんは笑った。
なんだかんだで、
電話番号交換までしてしまった。
なんだか
新しい父ができた気分。
柳田さんにそういったら、柳田さんは楽しそうに「娘が一人増えた」
と言ってくれた。

