極上笑顔の上司


「なんで、僕じゃだめなんだろ。
 楽しかったのになぁ。」


「ははは。海人、楽しかったって・・・
 まぁ、ショックを受けたのはわかるけど、
 まだ挽回のチャンスが・・・」

ショック?

って、
彼女に受け入れてもらえなかったことが?


「え?」

「え?って、
 ショックだから、わざわざ
 俺に電話してきて、飲んでるんだろ?」

兄である雅人はすっと、
持ってきたビールの缶を指差した。


手にした缶は
もうすでに空っぽである。


「ショックっていうか・・・
 あぁ、そうか、
 ショックだったのかも。」


ふと、自問自答する。

まぁ、好かれている自信はあったんだよなぁ。

ドキドキもしてくれていたみたいだし。

でも、なんで拒否?

うーん と、首をかしげたところで
兄さんがビールをもう一本
投げてよこした。

パシッと受け取るが
ビールは投げないでほしいと
ちょっと苦笑する。