「あーぁ。」
カタカタと機械的な音が鳴り響く。
思わず出そうになったあくびを堪えながら
恭平くんの姿を探す。
そんな時、ポンと頭に衝撃が走ってあたしは振り返った。
「俊介、何?」
「コピー50部。暇だろ?仕事しろよ。」
バサっとあたしのキーボードに、資料を並べる。
「んもぅ。自分ですればいいじゃない。」
「俺は忙しいの。事務員だろ?ほれ!」
ボールペンであたしの肩を叩く俊介に、渋々資料を持ってコピー機に向かった。
夏の紫外線が、ブラインド越しにチラチラと事務所を照らす。
あちこちで鳴る電話の音がコピー機の音と混じり合う。
コピーされた資料の左端をホチキスで止めていると
「玲。」と声を掛けられたが、振り返らずに作業を進めた。

